認知症は、記憶力・判断力・言語能力などの認知機能が低下し、日常生活に支障をきたす病気です。
また、うつ・不安・怒りっぽさ・介護への抵抗、幻覚や妄想などの精神症状(行動・心理症状)がみられることがあります。
- アルツハイマー型認知症
最も多くみられる認知症で、ゆっくりと進行します。
主な症状
- 物忘れ(同じことを繰り返し聞く、物の置き場所が分からない)
- 見当識障害(特に月や曜日が分からない、慣れない場所で迷う)
- 実行機能の低下(料理の味付けが変わる、書類処理やATM操作が困難)
初期は自覚があることもありますが、進行とともに気づきにくくなります。
進行に伴う症状
- 失語:言葉が出にくい、相手の話が理解しにくい
- 失行:服が着られない、道具の使い方が分からない
- 失認:身近な人の顔が分からない
- 最終的には反応が乏しくなり、寝て過ごす時間が増えます
行動・心理症状
- 抑うつ・不安(元気がない、一人を不安がる)
- 興奮(注意されて怒る、暴力に至ることも)
- 介護抵抗(状況が理解できず拒否する)
- 妄想(「お金を盗られた」「家族に意地悪されている」「亡くなった人が生きている」など)
- レビー小体型認知症
アルツハイマー型に次いで多い認知症です。アルツハイマー型と同じように認知症が進行しますが、初期には物忘れが目立たないことがあります。
主な症状
- 幻視:小動物・人物などがはっきり見える
- レム睡眠行動異常:寝言、夢に合わせて体が動く
- 意識の変動:日中にぼんやりして眠そうに見える
- パーキンソン症状:動作が遅い、転びやすい、震え、すり足
また、様々な精神症状が目立ちやすいのが特徴で、初期にはうつ病や精神病と区別がつかないことがあります。
- 前頭側頭型認知症
初期は記憶障害が目立ちにくく、行動や性格の変化が中心です。
主な症状
- 意欲低下:無気力、関心がなくなる
- 脱抑制:怒りっぽい、配慮に欠ける行動
- 常同行為:同じ行動を繰り返す、こだわりが強くなる
- 食行動異常:甘いものばかり食べる、目についたものを口にする
本人に病識が乏しく、徐々に認知機能も低下します。
■ 認知症の治療について
◎薬物療法
認知症は根本的に治すことは難しいため、早期診断・早期治療で進行を遅らせることが重要です。
進行抑制薬は脳内のアセチルコリンの働きを高めたり、グルタミン酸の過剰な働きを抑えるような作用のお薬で治療します。
また、初期のアルツハイマー型認知症では、病気の原因となるアミロイドβを除去する点滴療法を行うことがあります(当院では未実施。必要時は専門医療機関を紹介します)。
行動・心理症状には、まず環境調整を行い、必要に応じて薬を併用します。
幻覚・妄想・興奮:抗精神病薬、気分安定薬、漢方
不眠・不安・抑うつ:睡眠薬、抗うつ薬、漢方
◎非薬物療法
薬だけでなく、日常生活の工夫が重要です。
運動習慣をつけること
- 散歩
- 体操
- 水泳
- 筋力トレーニング
社会参加をうながすこと
- デイサービス
- 地域活動
- 趣味
心理社会的アプローチ
- 音楽療法
- 回想法(昔の写真を見て会話)
- 創作活動(絵や工作など)
- ご家族のかたへ
認知症の方との関わりが、症状の安定と介護負担に影響します。
- 否定・叱責を避け、穏やかに声をかける
- 予定や物の場所を見える形で示す(メモ・写真など)
- 困った行動は「病気の症状」と理解し、責めない
- 介護者が疲弊しないよう、支援サービスも活用する