主な症状
適応障害は学校で友人関係がうまくいかないことやいじめに遭う、勉強についていけないことや、仕事で上司から叱責を受ける、仕事の負荷が大きいことやうまくこなすことができない、家庭生活で家族を中心に人間関係がうまくいかない、などさまざまなストレスがかかり続けることにより心身に不調をきたす病気です。年代を問わず生きていれば大なり小なりストレスはかかり、こころの不調がみられることはありますが、適応障害では通常予測される程度を超えた苦痛がみられます。症状としては、原因となるストレス要因と関連した気分の落ち込みや意欲、やる気の低下、不安、イライラといった抑うつ症状や、不眠、食欲低下、疲れやすさ、集中力の低下や、朝仕事や学校に行く前に吐き気、腹痛、頭痛、動悸、めまいといったさまざまな身体症状を認めます。これらの症状は、本人にかかるストレスに関連することが多く、休日や仕事、学校を休むことが決まった後に症状が軽くなること、一方で翌日が学校や仕事の午後から症状が悪化することがしばしばみられます。適応障害はパーソナリティ障害や器質性精神障害など、他の精神疾患にしばしば合併すること、症状が似ているためうつ病との区別が困難なことがしばしばみられます。
治療方針
適応障害の治療は、まずは原因となるストレスを軽減するための環境調整をおこなうことが大切です。仕事や勉強の負荷が大きい場合は、職場の上司や産業医、学校の先生と相談して負荷を軽減することや仕事の部署を変更することを相談するなどします。症状が重度であれば休職や学校を休むなどしてストレス負荷を減らして心身の休息を図りつつ、抑うつ症状や不眠、身体症状などに対して対症療法的に抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬など薬物療法をおこないます。また適応障害ではパーソナリティ障害や器質性精神障害、不安障害など精神疾患を併発していることがあり、これらの背景疾患の影響を評価して並行して治療をおこなうことが大切です。さらに症状が軽快した後も、再発を予防するために心理教育をおこなってストレス耐性を上げること、本人を取り巻く環境が悪化していないかの確認を適宜おこなうことが大切です。