主な症状

双極性障害(躁うつ病)は、人間関係や仕事のストレス、環境の変化などにより抑うつ状態や躁状態となる病気です。うつ病と比較して遺伝要因が関係しやすいことが知られていて、好発年齢はうつ病より早く30歳台で発症することがあります。抑うつ状態では気分が沈んで何をするのも億劫になる、何をしても楽しくなくやる気や関心が湧かない、いつも不安で気持ちが落ち着かなくなる、そのような状態の自分を責めてしまうようになります。一方で躁状態では気持ちが高揚してエネルギーに満ちた状態となって過活動となる、些細なことで怒る、よく喋ったり行動するようになり落ち着きがなくなるようになります。双極性障害は抑うつ状態から発病することが多く、病気の経過のなかで抑うつ状態の期間が躁状態の期間よりも長いことが知られています。このためにうつ病と区別することがむずかしく、うつ病として治療していてあとになって躁状態がみられるようになってから双極性障害がわかることが少なくありません。

治療方針

双極性障害の治療は十分に休息をとることでストレスや疲れがかかることを減らす環境調整に加えて、気分安定薬や抗精神病薬による薬物療法、さらに精神療法や認知行動療法がおもにおこなわれます。気分安定薬と抗精神病薬は躁状態となることを抑える効果や、抑うつ状態を改善させる効果、気分の波を安定させて再発を予防する効果があります。うつ病の治療で用いられる抗うつ薬は、しばしば効果が乏しいことや、双極性障害の抑うつ状態のときに服用することで気分の変動の周期を早めることや、躁状態を引き起こすことがあるため注意が必要です。抗うつ薬でうつ病の治療をおこなっていて効果が乏しいことや、怒りっぽくなる、気分が高揚することを認めた場合は、双極性障害のうつ状態の可能性を考えて気分安定薬や抗精神病薬による治療に切り替える必要があります。また双極性障害は再発することが多い疾患で、再発する頻度が多いほど治りにくくなることが知られています。このため、再発を予防するために規則正しい生活習慣を維持すること、過度に疲れやストレスがたまらないように心理教育や環境調整をおこなうこと、適切な薬物療法を継続することが大切になります。