主な症状

広場恐怖は自宅外の雑踏や公共の場所などで恐怖感や不安発作、身体不調をみとめ、これらの状況をしばしば回避するようになる病気です。またパニック障害は予知できないパニック発作が繰り返し起こり、パニック発作が起こるかどうかということ対する不安が制御できなくなり日常生活に支障を生じる病気で、しばしば広場恐怖に合併します。パニック発作は動悸、発汗、震え、息苦しさ、めまい、ふらつき、「気が狂う、死ぬのではないか」といった不安、恐怖感が突発的に出現し、約30分から1時間ほど続く発作です。パニック発作は他人と会話をしていたり何か作業をして集中しているときにはあまり起こらず、何もしていないときや考え事などをしているときに起こりやすいです。パニック発作自体は生命に関わるような症状ではなく自然に軽快するもので、患者さんはパニック発作について「そこまで深刻に考えすぎなくていい」と頭ではわかっているものの、不条理に発作について不安を感じてしまいます。またこれらの不安の重症度は家族など周囲の人に理解されづらく、患者さんは悩みを一人で抱えて自信を失くすことでひきこもりがちの生活となるなど生活機能が低下してしまいます。病気が長期化することでうつ病やパーソナリティ障害などを併発し、治療がむずかしくなることがあるたね、早期発見・治療をおこなうことが大切です。

治療方針

広場恐怖やパニック障害の治療は抗うつ薬や抗不安薬による薬物療法と、心理教育や認知行動療法をおこないます。薬物療法は選択的セロトニン再取り込み阻害薬を中心とした抗うつ薬が中心となり、発作の誘発や不安の軽減を図ります。これに加えて、速やかな抗不安効果があるベンゾジアゼピン系抗不安薬を必要に応じて併用します。また心理教育により「パニック発作が生命に影響を及ぼすことは無いこと」、「パニック発作がずっと続くことはないこと」といった病気についての正しい知識を持つことが大切です。さらに患者さんはパニック発作が起こる状況を回避しがちですが、回避行動はしばしば不安症状を悪化させるため、少しずつ自分が不安に感じる状況に暴露する(一区間電車に乗る、人が少ない時間帯に公共施設に行く、など)ことで、パニック発作に対する耐性をつけていくことが重要です。